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審決では、本願発明の技術課題が「ブーミングの存在」、本願発明の目的が「ブーミングの解消」としているが、判決では、本願発明の技術課題ををほとんどの場合「ブーミング」の根拠及び内容といい、場合により「ブーミング」解消といっている。本願明細書全体から、実質的には本願発明の技術的課題は「ブーミングの解消」であると考えてよい。 |
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裁判所は、「人が聴取する場合に低音域が耳障りになり不自然に聴こえる現象」であると認定しているが、原告Xの主張と被告の主張は、これとは異なることを念頭に入れて読み進めて欲しい。 |
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特許庁編、「特許・実用新案審査基準(平成6年12月に改訂。昭和63年1月1日以降の出願に適用される。単に審査基準ともいう。)」 |
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本件の例では、引用例が戦前の公告公報である古い技術であるが、思うに以下のような事情があったのではなかろうか。審査官は、通常通りFターム検索等の審査のための調査を行ったが容易には発見することができなかった。一方審査官は、本願は拒絶すべきであるという心証を持っていて、必死に探した結果、戦前の公告公報を探し当てたのだろう。しかし、このような公報には、旧態然の技術が極く簡単に(2〜3頁)しか記載されておらず、技術課題、構成、効果のいずれかに相違点があれば、まず進歩性がある可能性が高いと思われ、ねばり強く対応すれば、本件のように良い結果が得られよう。 |
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Fletcher-Munson等感曲線ともいい有名である。異なった周波数の音をすべて等しい大きさに感じるには、その音の強さをどのように調整しなければならないかを示す曲線の集まり。(百科事典「S52講談社」より抜粋) |
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引用例には、LC並列共振回路が記載されており、引用例の第二図のA〜Eの曲線形になるよう調整することができるとしており、本願明細書には、共振回路によって分流されるタップ付ポテンショメータを含むことを特徴とする自動ダイナミック等化回路(本願の優先権主張の基礎出願では、‘an automatic dynamic equalization cir-cuit’となっている。)であり、原告Xは、裁判所で高いQ値の又は高次のフィルターを用いた回路であるから、従来技術の回路を前提とした被告の主張は、本願発明には該当しないと主張している。 |
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本願発明の特徴的構成である「無視し得る増加」は、本願の優先権主張の基礎出願では、‘said gain control for imparting negligible boost to’となっており、これを忠実に翻訳したものであるが、日本語として耳慣れない曖昧性を帯びた表現(ここでは「問題含み表現」という。)となっている。外国出願を優先権主張の基礎として日本出願をする場合、問題含み表現を出願前に関知することが重要である。そして、出願時点で問題含み表現を日本語としてぴったりした表現(判決文でも使用されている、例えば「できるだけ強調しないようにする」、「増幅特性を平坦にする」、「中音域に対して2〜3dB」等)に変更すべきであり、かつ変更した表現で発明内容が変更されていないことを外国出願人等に連絡等して確認することが、少し労力がかかるが、望ましいことではあろう。
本件においても、‘negligible boost’の翻訳部分が引用例にも開示されているように審判官に誤解され、この翻訳部分が争いの直接的原因になったように筆者は思われて仕方ない。 |
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目的の同一とは、産業上の利用分野が同一、かつ発明が解決しようとする問題点が同一であることをいう。(S.62 新原浩朗編著「改正特許法解説」p.30.)従って、技術課題の概念のほうが、目的の概念よりも広いことになる。 |
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このようにしておけば、出願前に発明の構成が訂正されたとしても発明の解決すべき技術課題は訂正する必要がなく手間が省けることによるものと考えられるからであろう。 |
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なお、裁判所は、別の引用例により「ブーミング」の定義が、証拠からは一義的に解されるとは認められないとも判示している。 |
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裁判では、効果については、特に争われていない。 |
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本願明細書においても「第1図について説明する。…150Hz以上の音域において1.5dB以上の増幅を行わないようにしている。」の記載があるが、裁判所では、特に争われていないのでこれ以上は触れないことにする。 |
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なお、cがない場合(例えば、用途発明の場合)も考えられ、この場合は一部置換ではなく、付加することが困難か否かということになろう。 |
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審査官は、「効果に弱い。」と俗にいわれている。通り、大部分の出願は、有利な効果を参酌することによって、判断可能でもあろうが、あくまでも主要観点は動機づけとなり得るものがあるかどうかである。 |
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「動機づけ」は、4種類あり、課題の共通性、示唆の有無、機能・作用の共通性、関連分野か否かであり、それぞれ、8件、2件、1件、2件が審査基準に判決例として例示されている。
発明の起因となるのは、まず何をさて置き、「課題」であり、技術開発者は、課題の共通した技術文献を収集して、それらを組合せて、進歩性のある発明を完成させるのが通常だからであろう。なお、「示唆の有無」についても、先行発明の構成要件に他の構成要件を付加するものは、選択発明を含めて改良発明であり、当業者が通常よく行うものだからであろう。「関連分野か否か」についても、技術開発者は、関連分野の技術文献等を収集して、転用を図ることも通常よくやられることだからであろう。「機能・作用の挙通性」についても、機能・作用の共通する構成要素を転用して改良発明とすることも、通常よく行われるからであろう。 |
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審査基準に判決例として2件例示されている。 |
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従来は、目的、構成、効果の記載が義務づけられていたので、目的の上位概念である技術課題も義務づけられていたことになる。 |
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本判決においても、明確になっているように本願発明の課題が、引用例に記載していなければ課題が共通しないということであるから、引用例発明の技術課題の認定は、必ずしも必要がないというべきである。拒絶対応時のような時間が逼迫した状態では、効率的な手法となろう。さらに、本願発明が引用例に記載されていないの外、さらに示唆もされていないことの確認もすれば完璧であろう。なぜならば、示唆されていれば本願の発明課題は引用例から予測容易であるとして進歩性が否定されるおそれがあるからである。 |