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◆モータの省エネルギー電力量算出システム(書誌+要約+請求の範囲)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2002-5964(P2002-5964A)
(43)【公開日】平成14年1月9日(2002.1.9)
(54)【発明の名称】モータの省エネルギー電力量算出システム
(51)【国際特許分類第7版】
G01R 11/00
【FI】
G01R 11/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2000-190729(P2000-190729)
(22)【出願日】平成12年6月26日(2000.6.26)
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
(72)【発明者】
【氏名】速水 英樹
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】紫藤 悦雄
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】小西 芳文
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富徳
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(57)【要約】
【課題】 モータ制御装置を貸与した者に対して、省エネルギー料金を請求する具体的手段を明確化することによって、新規な省エネルギーサービス事業を発展させる。
【解決手段】 コンバータ2、インバータ3、周波数制御部5、通信装置6、モータの電力量測定装置11、モータの使用時間測定装置12によってモータ制御装置100を構成する。電力量測定装置11によって測定されるモータの消費電力量と、使用時間測定装置12によって測定されるモータの使用時間とをモータ制御装置100のメモリー部に積算して記憶し、予め設定された時間に、積算して記憶されている、消費電力量および使用時間を、通信装置6で外部通信装置16に発信するとともに、外部データシステムのメモリー部に記憶する。それらに基づいて、所定期間内の請求料金を算出してモータ制御装置100を貸与した者に請求できるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インバータとモータと周波数制御部を備えたモータ制御装置において、モータの消費電力量測定装置を備えたことを特徴とするモータの省エネルギー電力量算出システム。
【請求項2】 モータの使用時間測定装置を備えてある請求項1に記載のモータの省エネルギー電力量算出システム。
【請求項3】 モータの使用時間測定装置により測定されたモータの使用時間とモータの消費電力量測定装置により測定されたモータの消費電力量から、省エネルギー電力量を、下式で算出する請求項1または2に記載のモータの省エネルギー電力量算出システム。
省エネルギー電力量=モータの仮定消費電力量-モータの消費電力量ここに、モータの仮定消費電力量=インバータを使用しない場合のモータの単位時間当たりの消費電力*使用時間【請求項4】 省エネルギー電力量情報をモータ制御装置のメモリー部に記憶させておき、モータ制御装置に備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けた場合、あるいは予め設定された時間がきた場合、モータ制御装置に備えられた通信装置により、システム識別信号と省エネルギー電力量情報を外部通信装置に発信し、外部データシステムのメモリー部に記憶させることを特徴とする請求項1、2、3のいずれかに記載のモータの省エネルギー電力量算出システム。
【請求項5】 モータ制御装置に備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けた場合、モータ制御装置に備えられた通信装置により、システム識別信号と省エネルギー電力量情報を外部通信装置に発信し、外部データシステムのメモリー部に記憶させることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか記載のモータの省エネルギー電力量算出システム。
【請求項6】 省エネルギー電力量情報に基づいて請求料金に換算させる請求項1、2、3、4、5のいずれかに記載のモータの省エネルギー電力量算出システム。
【請求項7】 運転状況、故障の経歴を記憶させる請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載のモータの省エネルギー電力量算出システム。
【請求項8】 当該システムに故障が起こった場合、モータ制御装置に備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けなくても、モータ制御装置に備えられた通信装置により、システム識別信号と故障情報を外部通信装置に発信することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7のいずれかに記載のモータの省エネルギー電力量算出システム。
詳細な説明
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、モータの電力使用量を抑制するモータの省エネルギー電力量算出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、鉄鋼、化学、製薬会社等が工場内でポンプと組み合わせて工場排水を汲み上げたり、送風機とセットで煙の排気循環を行ったりするのに、モータ(高圧モータ等)を使用している。モータとインバータと周波数制御部を備えたモータ制御装置により、工場などに設置されている上記モータ系を省エネルギーシステムとすることは、従来から初期投資の資金力が有る特定の企業においては行われていた。ただし、自社のみだけでこのようなことを行おうとすれば、モータ費用、インバータ費用、システム費用等及びそのための開発費用等のイニシャルコストは馬鹿にならず、即刻にモータ制御装置を導入することに抵抗感が有る企業も多かった。
【0003】そこで、工場などで使うモータの電力使用量を抑制する省エネルギーサービス業を提案することが考えられた。例えば、高効率のモータとその回転数を制御するインバータ等を無料で貸与し、節減できた電力料金の一部を受け取るというサービス内容がビジネス形態の一例として考えられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来の技術において、上述のような省エネルギーサービス業を行うためには、モータとインバータと周波数制御部を備えたモータ制御装置の技術的内容はある程度明確であったが、省エネルギー効果を数値化した省エネルギー電力量情報を収集し、省エネルギー効果を数値に換算して、省エネルギー化料金を請求できなければ、かかる省エネルギーサービス業は成り立たないのである。
【0005】しかしながら、かかる省エネルギーサービス業をどのように行うか、あるいはどのようなツールを使って行うのかの具体的手段は何ら明確化されていないのが実情であり、より効率的なサービス事業としての実施形態を具体化したものは、従来存在しなかった。
【0006】更に、詳述すれば、従来の場合は、初期投資の資金力が有る特定の企業が、電力事業者から、商用電力の供給を受けて、個々において、省エネルギー活動を行い、トータルの商用電力量の省エネルギー化を図っている。従って、モータの省エネルギー化を図ったとしても省エネルギーの対象モータに消費電力量測定装置を備えることは念頭になかった。何故ならば、このような消費電力量測定装置を備えれば、コストアップに繋がるからである。従って、工場設計段階においては、このような消費電力量測定装置を備えることはコストアップ要因になるので備えないという考え方が一般的であり、省エネルギー化を図っても、厳密に省エネルギー電力量を測定することはしないで、省エネルギー化を図って成功した段階で評価したり、あるいは表彰したりすることはあっても、コストアップに繋がる消費電力量測定装置を備えることは有り得なかった。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、請求項1、2および3に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムは、モータ制御装置を貸与した者に対して、省エネルギー料金を請求する具体的手段を明確化することによって、新規な省エネルギーサービス事業を発展させることを目的とし、また、請求項4、5および6に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムは、料金の請求処理を容易に行えるようにすることを目的とし、請求項7、8に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムは、メンテナンスを有効に行えるようにすることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムは、上述のような目的を達成するために、インバータとモータと周波数制御部を備えたモータ制御装置において、モータの消費電力量測定装置を備えて構成する。インバータは、一般には、交流の商用電力を任意の周波数fの交流電力に変換する装置である。コンバータによって商用電力を直流に変換し、直流を周波数fの交流電力に変換することもある。インバータを使用すると省エネルギーとなるという考え方は、かなり、浸透しているが、以下説明する。ポンプや送風機は一般的には、軸動力が回転速度(周波数)の3乗に比例する。従来より、モータを一定速度で運転しておき、ダンパやバルブで風量・水量を調整していたが、この場合、風量・水量を絞り込むと、ダンパやバルブ部で大きなエネルギー損失を発生していた。そこで、このダンパやバルブを使用せず、インバータにより、ポンプや送風機の回転速度(周波数)を変化させることにより風量・水量を調整してこのエネルギー損失を取り除くというものである。モータ制御装置とは、ポンプ系等の負荷側からの必要負荷の命令信号により、必要負荷に対応する周波数fになるようにインバータ出力を制御する装置をいう。モータの消費電力量測定装置とは、一般には、モータの消費電力量を積算値として測定する装置である。モータの消費電力量は、狭義には、本システムの通信装置等で消費される電力量(モータの消費電力量に比較すれば、非常に少ない。)やインバータでの電力損失は含まないが、含めても構わない。結局は、モータの仮定消費電力量との関係で決まるもので、モータの消費電力量に、本システムの通信装置等で消費される電力量(モータの消費電力量に比較すれば、非常に少ない。)やインバータでの電力損失を含める場合には、モータの仮定消費電力量にも、本システムの通信装置等で消費される電力量(モータの消費電力量に比較すれば、非常に少ない。)やインバータでの電力損失を含める。周波数制御部とは、必要なモータ出力に対応する周波数fになるように、インバータの出力の周波数fを制御する部分をいう。モータの消費電力量は、C*f3 と周波数の3乗に比例する。従って、モータに必要な負荷が分かれば、逆算して必要なインバータによって変換された交流の周波数fは算出される。モータに必要な負荷は、例えば、モータに接続するポンプ系の運転システムから命令信号として、受け取ることができる。ある時刻t1、t2におけるモータの消費電力量の測定値F(t1)、F(t2)から、期間t1~t2におけるモータの消費電力量はF(t2)-F(t1)として算出される。期間t1~t2における時刻t1、t2は、一般には、月の初日の午前0時、時刻は、月の末日の午後12時をいう。モータ制御システムを使用しない場合のモータの消費電力量は、C0*f03*(t2-t1)により算出することができる。ここにC0は定数である。即ち、設定周波数f0の3乗に比例する。f0はモータの定格の周波数で、例えば、商用電力の周波数50Hz/s又は60Hz/sである。
【0009】また、請求項2に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項1に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムにおいて、更に、モータの使用時間測定装置を備えるように構成する。モータの使用時間測定装置とは、一般には、時刻tにおけるモータが使用されている間にモータの積算使用時間T(t)を測定する装置を言う。周波数カウンタを用いて、モータが運転状態にある場合、周波数カウンタを作動させて積算使用時間T(t)を測定する。モータの使用時間とは、一般には、時刻tにおけるモータが使用されている間の積算使用時間T(t)をいうものとする。従って、期間t1~t2において、モータの使用時間T(t2)-T(t1)を指す場合も有り得る。期間t1~t2(例えば、月間)のモータ使用時間を算出するためには、積算使用時間T(t2)を測定し、前回のモータの積算使用時間T(t2)をメモリー部から取り出し、使用時間T(t2)-T(t1)を計算することによって、期間t1~t2(例えば、月間)のモータ使用時間を算出することができる。
【0010】また、請求項3に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項1または2に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムにおいて、モータの使用時間測定装置により測定されたモータの使用時間とモータの消費電力量測定装置により測定されたモータの消費電力量から、省エネルギー電力量を、下式で算出するように構成する。省エネルギー電力量=モータの仮定消費電力量-モータの消費電力量ここに、モータの仮定消費電力量=インバータを使用しない場合のモータの単位時間当たりの消費電力*使用時間である。省エネルギー電力量については、下式で算出することができる。
【数1】
従って、F(t2)、F(t1)は、モータの消費電力量測定装置によって測定される。F0(t2)-F0(t1)は、積算使用時間を使用時間カウンターによって、T(t2)、T(t1)を測定することによって、C0*f03 *(T(t2)-T(t1))として算出することができる。上式から、例えば、従来のポンプ系のモータの場合(モータ制御システムを使用しない場合)、使用時間帯は、f0という定格周波数で運転することになり、ポンプ負荷が落ちた場合、配管のバルブを閉にすることによってポンプ負荷に追随させていた。従って、モータの消費電力量は一定であるが、エネルギー効率は低かった。インバータを導入することによって、基本的には、上記の省エネルギー電力量が節約されることになる。
【0011】また、請求項4に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項1、2、3のいずれかに係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムにおいて、省エネルギー電力量情報をモータ制御装置のメモリー部に記憶させておき、モータ制御装置に備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けた場合、あるいは予め設定された時間がきた場合、モータ制御装置に備えられた通信装置により、システム識別信号と省エネルギー電力量情報を外部通信装置に発信し、外部データシステムのメモリー部に記憶させるように構成する。モータ制御装置に備えられた通信装置とは、発信部と受信部を有する装置であって、外部通信装置と省エネルギー電力量情報等を交信するための装置である。外部通信装置とは、発信部と受信部を有する装置であって、モータ制御装置に備えられた通信装置と省エネルギー電力量情報等を交信するための装置である。コール信号とは、外部通信装置の発信部により、通信装置を起動させて、メモリー部に貯えられた省エネルギー情報を入手するための信号であり、外部通信装置を識別するための暗号信号でもある。このコール信号を受信した通信装置は、メモリー部に貯えられた省エネルギー電力量情報をメモリーから引き出し、通信装置の発信部から、外部通信装置の受信部に向けて発信する。省エネルギー電力量情報とは、狭義には、モータの省エネルギー電力量を算出するのに必要な種々のデータ、情報をいう。基本的には、<1>システム識別信号 <2>時刻t1、t2(予め、t1、t2が既知である場合には、省略も可能である。) <3>モータの使用時間T(t2)(期間t1~t2の間のモータの使用時間T(t2)-T(t1)をいう場合もある。) <4>モータの消費電力量F(t2)(期間t1~t2の間のモータの消費電力量F(t2)-F(t1)をいう場合もある。)であるが、この他、時間毎の運転状況(モータを運転しているか否かの情報)、時間毎の周波数f(t)の値等のモータの省エネルギー化を図るのに必要な情報を含む。システム識別信号とは、各現場に分散配置された当該システムを識別するための信号であり、通信装置の発信部から、外部通信装置の受信部に向けて発信する場合、システム識別信号と省エネルギー電力量情報を発信する。システム識別信号により、何処に配置された当該システムの省エネルギー電力量情報であるかを識別する。モータ制御装置に備えられた通信装置と外部通信装置との通信手段としては、無線、インターネット、電話線等が考えられる。
【0012】また、請求項5に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項1、2、3、4のいずれかに係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムにおいて、モータ制御装置に備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けた場合、モータ制御装置に備えられた通信装置により、システム識別信号と省エネルギー電力量情報を外部通信装置に発信し、外部データシステムのメモリー部に記憶させるように構成する。
【0013】また、請求項6に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項1、2、3、4、5のいずれかに係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムにおいて、省エネルギー電力量情報に基づいて請求料金に換算させるように構成する。
【0014】また、請求項7に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項1、2、3、4、5、6のいずれかに記載のモータの省エネルギー電力量算出システムにおいて、運転状況、故障の経歴を記憶させるように構成する。
【0015】また、請求項8に係る発明は、前述のような目的を達成するために、請求項1、2、3、4、5、6、7のいずれかに記載のモータの省エネルギー電力量算出システムにおいて、当該システムに故障が起こった場合、モータ制御装置に備えられた通信装置がコール信号を外部通信装置から受けなくても、モータ制御装置に備えられた通信装置により、システム識別信号と故障情報を外部通信装置に発信するように構成する。当該システムに故障が起こった場合とは、モータに必要な負荷情報を、例えば、モータに接続するポンプ系の運転システムから命令信号として受け取っているにも拘わらず、モータの消費電力量の微分値(消費電力量の時間当たりの増加量F(t)/dt)が所定値よりも低い場合等をいう。上記の場合、例えば、時間t毎にモータの消費電力量を測定して、時間tと時間t+dtのモータの時間当たりの消費電力量F(t)/dtを算出して、モータに必要な負荷と比較して、所定範囲内を外れた場合、故障と判断することも考えられる。
【0016】
【作用】請求項1に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムの構成によれば、モータの消費電力量測定装置によってモータの消費電力量を知り、それに基づいて省エネルギー電力量を知ることができる。
【0017】また、請求項2に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムの構成によれば、モータの消費電力量に加えてモータの使用時間を知り、それらから省エネルギー電力量を知ることができる。
【0018】また、請求項3に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムの構成によれば、モータの消費電力量とモータの使用時間とに基づいて、省エネルギー電力量を数値化することができる。
【0019】また、請求項4に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムの構成によれば、コール信号を受けた場合、あるいは、予め設定された時間がきた場合、各モータ制御装置のメモリー部に記憶させた省エネルギー電力量情報を外部通信装置に発信し、その外部データシステムのメモリー部に記憶させることができる。
【0020】また、請求項5に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムの構成によれば、コール信号を受けた場合、各モータ制御装置の省エネルギー電力量情報を外部通信装置に発信し、その外部データシステムのメモリー部に記憶させることができる。
【0021】また、請求項6に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムの構成によれば、各モータ制御装置の省エネルギー電力量を請求料金に換算し、具体的な金額を知ることができる。
【0022】また、請求項7に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムの構成によれば、運転状況、故障の経歴を記憶する。
【0023】また、請求項8に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムの構成によれば、故障発生時に、モータの制御装置に備えられた通信装置により、外部通信装置に故障情報を自ずと送ることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、モータの省エネルギー電力量算出システムの実施例を示すブロック図であり、モータ制御装置100が、コンバータ2、インバータ3、周波数制御部5、通信装置6、モータの電力量測定装置11、モータの使用時間測定装置12から構成されている。
【0025】コンバータ2では、商用電力1からの交流電力を直流電力に変換するようになっている。周波数制御部5では、モータの負荷情報20を受けて、モータ負荷に対応する周波数fを算出し、インバータ3の出力を周波数fの交流電力に変換し、モータ4に供給するようになっている。
【0026】モータの電力量測定装置11では、モータ4に供給される周波数fの交流電力に基づいてモータの消費電力量F(t)を測定するようになっている。一方、モータの使用時間測定装置12によって、モータが使用されている間だけ、内蔵された時間カウンター(図示せず)が作動され、この時間カウンターにより、使用時間T(t)を測定するようになっている。
【0027】モータの使用時間測定装置12によって測定された使用時間、および、モータの電力量測定装置によって測定されたモータの消費電力量それぞれがモータ制御装置100のメモリー部(図示せず)に積算して記憶されていくようになっている。
【0028】例えば、月の末日の午後12時、もしくはそれ以降など、予め設定された時間t2がきた場合に、モータ制御装置100のメモリー部から、前月の末日の午後12時などの、予め設定された時間の起算時から積算されて記憶されている、モータの使用時間測定装置12によって測定された使用時間T(t2)、および、モータの電力量測定装置によって測定されたモータの消費電力量F(t2)それぞれを通信装置6の発信部から、外部通信装置16の受信部にシステム識別信号とともに発信するとともに、外部データシステム(図示せず)のメモリー部に記憶するように構成されている。
【0029】外部データシステムは、期間t1~t2の省エネルギー電力量を、下式(1)から算出するようになっている。
省エネルギー電力量={F0(t2)-F0(t1)}-{F(t2)-F(t1)}……(1)
ここに、F0(t2)-F0(t1)は、モータ4の仮定消費電力量であり、このモータの仮定消費電力量は、インバータ3を使用しない場合のモータ4の消費電力量(C0*f03 )に使用時間を乗算して求められる。すなわち、F0(t2)-F0(t1)=C0*f03 *(T(t2)-T(t1))として算出することができる。T(t1)はメモリー部に記憶されている期間t1での積算使用時間、T(t2)は期間t2での積算使用時間、F(t1)はメモリー部に記憶されている期間t1での積算されたモータの消費電力量、F(t2)は期間t2での積算されたモータの消費電力量である。F(t2)、F(t1)は、モータの消費電力量測定装置によって測定された値である。
【0030】外部データシステムでは、上記省エネルギー電力量に単位エネルギー電力量に対する所定料金を乗算したものを基本料金に加えて請求料金を算出するようになっている。
【0031】また、通信装置16では、外部通信装置16からのコール信号を受けたときにも、その期間までの前述した使用時間T(t2)、および、モータの消費電力量F(t2)それぞれを通信装置6の発信部から、外部通信装置16の受信部にシステム識別信号とともに発信するとともに、外部データシステム(図示せず)のメモリー部に記憶するように構成されている。
【0032】また、モータ制御装置100のメモリー部には、運転状況や故障の経歴をも記憶されるようになっている。更に、故障が起こった場合については、外部通信装置16からコール信号を受けなくても、通信装置6から外部通信装置16に故障情報を発信するようになっている。
【0033】故障の自己判断としては、例えば、時間dt毎にモータの消費電力量を測定して、時間tと時間t+dtのモータの時間当たりの消費電力量dF(t)/dt)を算出し、モータに必要な負荷とを比較して、設定範囲内を外れた場合、故障と判断することにする。例えば、モータ負荷情報20を、モータに接続するポンプ系の運転システムから命令信号として受け取っているにも拘わらず、モータの消費電力量の微分値(消費電力量の時間当たりの増加量dF(t)/dtが設定値(例えば、モータ負荷の何%とかの値)よりも異常に低い場合は当然に故障と判断するようになっている。
【0034】なお、日本全体としても、1999年4月の改正省エネ法施行で、工場側は省エネ計画や省エネ実績の届け出を義務づけられているが、本発明のモータの省エネルギー電力量算出システムを導入すれば、省エネ計画や省エネ実績の届け出の義務を果たすことが可能となった。
【0035】
【発明の効果】請求項1に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムによれば、モータの消費電力量を知り、それに基づいて省エネルギー電力量を知ることができるから、高効率のモータとその回転数を制御するインバータ等を無料で貸与し、節減できた電力料金の一部を受け取るという新規なビジネスとしての省エネルギーサービス事業を行うことが可能となった。省エネルギー電力量算出のためには、モータの使用時間を測定する必要が有るが、常時使用することがはっきりしている場合には、モータの消費電力量を測定するだけで省エネルギー電力量を算出でき、このような場合に、請求項1に係る発明の構成で本発明の目的を達成することができる。
【0036】また、請求項2に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムによれば、モータの消費電力量にモータの使用時間を加えて省エネルギー電力量を知ることができるから、モータを常時使用しない場合(モータを起動したり停止したりすることを前提にする場合)にも、良好にモータの省エネルギー電力量を算出でき、上述した新規なビジネスの発展を促進できる。
【0037】また、請求項3に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムによれば、モータの消費電力量とモータの使用時間(常時使用する場合は既知である)とから、省エネルギー電力量を数値化するから、省エネルギー電力量を明確に把握でき、モータ制御装置を貸与した者に対して、省エネルギー料金を具体的かつ明確に請求でき、上述した新規なビジネスを効果的に発展できる。
【0038】また、請求項4に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムによれば、コール信号を受けた場合、あるいは、予め設定された時間の経過後に、外部通信装置の外部データシステムのメモリー部に記憶させた省エネルギー電力量情報によって、各地に配置した当該システムの所定期間の省エネルギー電力量情報を知ることができるから、省エネルギー電力量情報を効率的に取得することができる。
【0039】また、請求項5に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムによれば、省エネルギー電力量情報がモータ制御装置のメモリー部に記憶されていなくても、外部通信装置の発信部からモータ制御装置に備えられた通信装置がコール信号を受けた場合、コール信号を受けた時刻におけるモータの使用時間、あるいはモータの消費電力量等の省エネルギー電力量情報(例えば、最新の省エネルギー電力量情報等)を外部通信装置に発信するから、予め定められた期間外などであっても、必要なエネルギー使用量情報を効率的に取得でき、有用である。
【0040】また、請求項6に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムによれば、各モータ制御装置の省エネルギー電力量を請求料金に換算し、具体的な金額を知ることができるから、モータ制御装置の使用に伴う費用を貸与者に明確に請求でき、新規な省エネルギーサービス事業の発展を促進できる。
【0041】また、請求項7に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムによれば、運転状況、故障の経歴を記憶するから、適宜、それらの情報を引き出すことができ、メンテナンスを有効に行えるとともに、本システムや付帯機器などの故障診断、より一層の省エネルギー運転の具体的方法の改善等に繋がり、更に有効な情報を顧客に提示することができ、新規な省エネルギーサービス事業の発展を一層促進できる。
【0042】また、請求項8に係る発明のモータの省エネルギー電力量算出システムによれば、故障発生時に、その故障情報を外部通信装置に送ることができるから、その故障情報によって適宜故障に対処することができ、メンテナンスを一層有効かつ容易に行うことができる。しかも、省エネルギーサービスに加えて、システムの維持管理事業も併せて行うことが可能となり、省エネルギーサービス事業の発展をより一層促進できる。そのうえ、モータ制御装置からの故障情報を外部データシステムに記憶するから、それらの情報の蓄積によって、モータ制御装置の経済的な寿命も精度良く予測できるようになり、効率的な省エネルギーサービス事業を行うことが可能となった。
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