特許事務所 富士山会 代表者 佐藤 富徳の発明館

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◆逆バケット型ドレントラップ(書誌+要約+請求の範囲)

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開平6-323496
(43)【公開日】平成6年(1994)11月25日
(54)【発明の名称】逆バケット型ドレントラップ
(51)【国際特許分類第5版】
F16T 1/30 Z 7504-3H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】FD
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願平5-22125
(22)【出願日】平成5年(1993)1月14日
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
【住所又は居所】大阪府大阪市淀川区田川北2丁目1番30号
(72)【発明者】
【氏名】木田 雅博
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】柏木 朗夫
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 富徳
【住所又は居所】大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内
(72)【発明者】
【氏名】中本 正博
【住所又は居所】大阪市淀川区田川北2丁目1番30号 株式会社ミヤワキ内
(72)【発明者】
【氏名】高田 雅史
【住所又は居所】大阪市淀川区田川北2丁目1番30号 株式会社ミヤワキ内
(74)【代理人】
【弁理士】
【氏名又は名称】小笠原 史朗

(57)【要約】
【目的】 気体の排出を防止して、システムの効率を向上させるとともに、量産性に適し、ドレンの量に対する適応範囲の広い逆バケット型ドレントラップを提供することである。
【構成】 弁機構を構成する弁座27,弁29,弁棒30,ガイド31,ベント棒32,チェイン34は、フロート26の上下移動と連動し、流体貯留室4内の液面が所定の高さ以上のときには気体排出口13およびベント孔18を開いて逆バケット17内の気体をバケット室10を経由して流体貯留室4に排気する。逆バケット17の下降時に液体排出口12が開かれ、液体排出口12から液体が排出される。また、弁機構は、流体貯留室4内の液面が所定の高さ以下になったときには気体排出口13およびベント孔18を閉じる。流体貯留室4内の液面が流体流入口11にまで低下すると、気体が流体流入口11を介して逆バケット17内に貯留され、逆バケット17が浮力を得て上昇し、上昇時に液体排出口12が閉じられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部から流入する流体および気体を一時的に貯留し、液体のみを自動的かつ間欠的に外部に排出する逆バケット型ドレントラップであって、その上部に流体導入口を有し、当該流体導入口から導入される流体および気体を一時的に貯留する流体貯留室、その下部に前記流体貯留室に連通する流体流入口を、その上部に前記外部に連通する液体排出口を、その上部に前記流体貯留室に連通する気体排出口を有するバケット室、その上部にベント孔を有し、前記バケット室内に上下移動自在に収納される逆バケット、前記流体貯留室内に上下移動自在に収納され、当該液体貯留室内の液面が少なくとも前記液体排出口を越える所定の高さ以上か否かをその浮力によって検出する液面検知手段、および前記液面検知手段の上下移動と連動し、前記液体貯留室内の液面が所定の高さ以下になったときには前記気体排出口および前記ベント孔を閉じて前記逆バケット内に貯留された気体の排除を禁止するとともにバケット室を定常的にほぼ満水状態にし、前記液体貯留室内の液面が所定の高さ以上のときには前記気体排出口および前記ベント孔を開いて前記逆バケット内の気体を前記バケット室を経由して前記流体貯留室に排気する弁機構を備え、前記逆バケットの上昇時に前記液体排出口が閉じられ、前記逆バケットの下降時に前記液体排出口が開かれ、それによって当該液体排出口から液体が排出されることを特徴とする逆バケット型ドレントラップ。
【請求項2】 前記バケット室内の前記液体が前記流体流入口を経由して前記流体貯留室に逆流するのを阻止する逆流阻止弁機構を備えることを特徴とする請求項1記載の逆バケット型ドレントラップ。
【請求項3】 前記気体排出口と、前記逆バケットの最上昇時における前記ベント孔とは、ほぼ鉛直方向上下に配置されることを特徴とする請求項1または2記載の逆バケット型ドレントラップ。
【請求項4】 前記気体排出口は、前記液体排出口より上方に配設されることを特徴とする請求項1,2または3記載の逆バケット型ドレントラップ。
【請求項5】 前記流体貯留室は、前記気体排出口および前記流体流入口を含めて前記バケット室の全部または一部を外囲して形成したことを特徴とする請求項1,2,3または4記載の逆バケット型ドレントラップ。

詳細な説明

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、逆バケット型ドレントラップに関し、より特定的には、高圧エア供給システム、スチーム供給システム等の気体を利用するシステムにおいて用いられ、これらのシステムにおいて生じた液体、すなわちドレンを排出するものに関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、従来のレバー式逆バケット型ドレントラップを示す図であり、実開昭57-48397号公報に示されている。有底円筒状のボディー本体101の上部にカバー102が載置され、ボルト103によってボディ本体101およびカバー102が一体的に固着される。これによって、ボディ本体101およびカバー102の内部にバケット室104が形成される。バケット室104の底部ほぼ中央には、流体流入口105が形成される。ボディー本体101には、外部から流入するドレンおよび気体が流入する流体導入口106と、流体導入口106および流体流入口105に連通する管路107が形成される。バケット室104の上部の周縁近傍には、弁座110が螺着される。弁座110には、液体排出口108が形成される。なお、弁座110は、ブラケット109をカバー102に固着する。ボディー本体101には、ドレンを外部に排出する出口111が形成される。またボディー本体101およびカバー102には、出口111および液体排出口108に連通する管路112が形成される。
【0003】バケット室104内には、下方に開口した逆バケット113が収納される。逆バケット113の上部周縁には、ベント孔114が形成される。ベント孔114には、孔詰まりを防止するためのロッキング防止杆115が摺動自在でかつ回転自在に嵌入される。逆バケット113の上部ほぼ中央には、アイボルト116が螺着される。アイボルト116およびブラケット109間には、ピン117,118回りに回転自在なレバー119が軸架される。レバー119のピン118近傍には、弁座110に着座可能な排水弁子120が固着される。バケット室104の上部のカバー102には、バイメタル(図示せず)およびブラケット109を固着するためのセットボルト121が螺着される。
【0004】図10は、図9に示したレバー式逆バケット型ドレントラップの動作状態を示す図である。まず、流体導入口106からシステムに残留していたドレンαのみが流入する(図10(1)参照)。このとき、逆バケット113に貯留されていた気体βは、ドレンαが逆バケット113に流入するのに応じてベント孔114を介してバケット室104に排気される。このため、逆バケット113が浮力で浮き上がることはない。したがって、液体排出口108は、開いたままに維持される。バケット室104に貯留されていた気体βは、液体排出口108が開いているので、流体流入口105からドレンαがバケット室104に流入するのに応じて、液体排出口108から排気される。また、バケット室104内の気体βの排気が終わると、液体排出口108が開いたままであるので、残留していたドレンαの外部への排出が始まる(図10(2)参照)。
【0005】次に、システムに残留していたドレンαがなくなると、このドレンαに続いて、システムにおいて必要な高圧乾燥空気、スチーム等の気体βが流体導入口106,流体流入口105を介して逆バケット113内に入る(図10(3)参照)。逆バケット113内に気体βが入ると、逆バケット113に浮力が付き、逆バケット113が上方に浮き上がる。逆バケット113が浮き上がると、排水弁子120が弁座110に着座し、液体排出口108を閉じる。これによって、ドレンαの排出が止まる。なお、このとき、逆バケット113内の気体βがベント孔114を介してバケット室104の上部に排出されるが、ベント孔114から排出する気体βより流体流入口105から供給されるされる気体βの方が多いので、浮力で浮き続け、液体排出口108を閉じたままに維持する。
【0006】次に、気体βに続いてドレンαが流体導入口106、流体流入口105を介してバケット室104に流入すると、逆バケット113への気体βの供給が止まり、逆バケット113内の気体βが全てベント孔114を介してバケット室104の上部に排出され逆バケット113内にドレンαが充満する。これによって、逆バケット113が浮力を失い、自重で下降する(図10(4)参照)。したがって、液体排出口108が開く。これによって、バケット室104のドレンαが液体排出口108を介して排出される。次いで、図10(3)および図10(4)の状態を繰り返し行い、ドレンαを間欠的に排出するようにしている。なお、実公昭63-15676号公報に示される従来のUFO式逆バケット型ドレントラップにおいても、同様の動作を行う。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の逆バケット型ドレントラップにおいては、次のような問題点があった。まず第1に、逆バケットの上下運動をさせるためには、システムに必要な気体βの供給を受ける必要があるが、ドレンαの排出時に逆バケット内の気体βおよびバケット室上部の気体βがドレンαとともに外部へ排出されてしまう。このため、逆バケットの上下動作毎にシステムから新たに気体βの供給を受ける必要が生じ、新たに供給を受けた気体βが逆バケット型ドレントラップを介して間欠的に外部に排出される。したがって、従来では、システムに必要な気体βが無駄に排気されるため、システムの効率を大幅に下げるという問題点があった。
【0008】第2に、ベント孔の口径が大きければ、逆バケット内の気体が短時間で排気されるので、逆バケットが短時間で浮力を失い、液体排出口の閉じている時間が短くなる。一方、ベント孔の口径が小さければ、逆バケット内の気体が排気されるのに時間がかかるので、逆バケットが浮力を失うのに時間がかかり、液体排出口の閉じている時間が短くなる。したがって、単位時間当たりのドレンαの外部への排出量(すなわち、ドレントラップの容量)に応じて、従来ではベント孔の口径を変えるようにしていた。このため、従来では、システム毎にベント孔の口径を変えて個別生産する必要があるので生産性が悪く、コスト高になるという問題点があった。また、従来の逆バケット型ドレントラップは、ベント孔の口径によってその容量がほぼ規定されるため、動作範囲が狭く、何らかの原因でシステム側のドレンの排出量が変動した場合にこれに対応するのが困難であるという問題点があった。
【0009】本発明は、上述の技術的課題を解決し、気体の無駄な排出を防止して、システムの効率を向上させるとともに、量産に適し、ドレン量の増減に対する適応範囲の広い逆バケット型ドレントラップを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述の技術的課題を解決するために、本発明は、以下の構成をとる。請求項1の逆バケット型ドレントラップは、外部から流入する流体および気体を一時的に貯留し、液体のみを自動的かつ間欠的に外部に排出するものであって、その上部に流体導入口を有し、その流体導入口から導入される流体および気体を一時的に貯留する流体貯留室、その下部に流体貯留室に連通する流体流入口を、その上部に外部に連通する液体排出口を、その上部に流体貯留室に連通する気体排出口を有するバケット室、その上部にベント孔を有し、バケット室内に上下移動自在に収納される逆バケット、流体貯留室内に上下移動自在に収納され、当該液体貯留室内の液面が少なくとも液体排出口を越える所定の高さ以上か否かをその浮力によって検出する液面検知手段、および液面検知手段の上下移動と連動し、液体貯留室内の液面が所定の高さ以下になったときには気体排出口およびベント孔を閉じて逆バケット内に貯留された気体の排除を禁止するとともにバケット室を定常的にほぼ満水状態にし、液体貯留室内の液面が所定の高さ以上のときには気体排出口およびベント孔を開いて逆バケット内の気体をバケット室を経由して流体貯留室に排気する弁機構を備え、逆バケットの上昇時に液体排出口が閉じられ、逆バケットの下降時に液体排出口が開かれ、それによって当該液体排出口から液体が排出されることを特徴とする。
【0011】請求項2の逆バケット型ドレントラップは、請求項1のものにおいて、バケット室内の液体が流体流入口を経由して流体貯留室に逆流するのを阻止する逆流阻止弁機構を備えることを特徴とする。
【0012】請求項3の逆バケット型ドレントラップは、請求項1または2のものにおいて、気体排出口と、バケットの最上昇時におけるベント孔とは、ほぼ鉛直方向上下に配置されることを特徴とする。
【0013】請求項4の逆バケット型ドレントラップは、請求項1,2または3のものにおいて、気体排出口は、液体排出口より上方に配設されることを特徴とする。
【0014】請求項5の逆バケット型ドレントラップは、請求項1,2,3または4のものにおいて、流体貯留室は、気体排出口および流体流入口を含めてバケット室の全部または一部を外囲して形成したことを特徴とする。
【0015】
【作用】請求項1の逆バケット型ドレントラップにおいては、液面検知手段は、流体貯留室内の液面が少なくとも気体排出口を越える所定の高さ以上か否かをその浮力によって検出する。弁機構は、液面検知手段の上下移動と連動し、液体貯留室内の液面が所定の高さ以上のときには気体排出口およびベント孔を開いて逆バケット内の気体をバケット室を経由して流体貯留室に排気する。逆バケットは、浮力を失い、下降する。逆バケットの下降時に液体排出口が開かれ、それによって液体排出口から液体が排出される。これによって、気体は、液体排出口から排出されることなく、流体貯留室に回収される。また、弁機構は、液体貯留室内の液面が所定の高さ以下になったときには気体排出口およびベント孔を閉じる。流体貯留室内の液面が流体流入口にまで低下すると、気体が流体流入口を介して逆バケット内に貯留される。ベント孔が閉じられているので、逆バケット内に貯留された気体の排除を禁止するとともにバケット室を定常的にほぼ満水状態にする。逆バケットは、浮力を得て上昇する。逆バケットの上昇時に液体排出口が閉じられる。これによって、わずかな液体でも流体貯留室に流入すれば、流体貯留室内の液面が流体流入口から上昇し、気体排出口を越える。これによって、液面検出手段が浮く。
【0016】請求項2の逆バケット型ドレントラップにおいては、逆流阻止弁機構は、バケット室内の液体が流体流入口を経由して流体貯留室に逆流するのを阻止する。これによって、液体貯留室内の液面が所定の高さ以下になったときに何らかの原因で気体排出口が開かれたままになった場合においても、バケット室を定常的にほぼ満水状態にする。
【0017】請求項3の逆バケット型ドレントラップにおいては、気体排出口と、バケットの最上昇時におけるベント孔とは、ほぼ鉛直方向上下に配置される。これにより、ベント孔を出た気体が鉛直方向上方に上昇し、気体排出口に向かう。
【0018】請求項3の逆バケット型ドレントラップにおいては、気体排出口は、液体排出口より上方に配設される。これによって、ベント孔を出た気体が何らかの原因で鉛直方向上方からずれて上昇しても、気体は最終的に気体排出口に到達する。
【0019】請求項5の逆バケット型ドレントラップにおいては、流体貯留室は、気体排出口および流体流入口を含めてバケット室の全部または一部を外囲して形成する。これにより流体貯留室とバケット室とを別々に設けるよりも小型化を図ることが出きる。
【0020】
【実施例】以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の一実施例のレバー式逆バケット型ドレントラップを示す図である。有底円筒状のボディー本体1の上部にカバー2が載置され、ボルト3によってボディ本体1およびカバー2が一体的に固着される。これによって、ボディ本体1およびカバー2の内部に流体貯留室4が形成される。流体貯留室4の上部には、システム(図示せず)からのドレンおよび気体が流入する流体導入口5および外部出口6が形成される。流体貯留室4内には、有底円筒状の内部ボディ本体7および内部カバー8が収納される。内部ボディ本体7および内部カバー8は、ボルト9によって一体的に固着される。これによって、内部ボディ本体7および内部カバー8の内部にバケット室10が形成される。
【0021】バケット室10の底部ほぼ中央には、流体貯留室4に連通する流体流入口11が形成される。バケット室10の上部の一方の周縁近傍には弁座15が螺着される。弁座15には、液体排出口12が形成される。バケット室10の上部の他方の周縁近傍には、弁座27が螺着される。弁座27には、液体排出口12より上方に配設されるとともに流体貯留室4に連通する気体排出口13が形成される。弁座15は、ブラケット14を内部カバー8に固着する。液体排出口12および外部出口6間には、連結管16が配設される。
【0022】バケット室10内には、下方に開口した逆バケット17が収納される。逆バケット17の上部周縁には、ベント孔18が形成される。なお、気体排出口13と、逆バケット17の最上昇時におけるベント孔18とは、鉛直方向上下になるように配置される。ベント孔18の下部にはガイド19が形成される。逆バケット17の上部ほぼ中央には、アイボルト20が螺着される。アイボルト20およびブラケット14間には、ピン21,22回りに回転自在なレバー23が軸架される。レバー23のピン22近傍には、弁座15に着座可能な排水弁子24が固着される。バケット室10の上部の内部カバー8には、バイメタル(図示せず)およびブラケット14を固着するためのセットボルト25が螺着される。
【0023】流体貯留室4には、液面検知手段としての逆バケット型のフロート26が収納される。フロート26と弁座27に着座可能な弁29とは、弁棒30を介して固着される。弁座27には、Oリング28が嵌着される。弁29の下部には、ガイド31が固着される。これによって、弁29が脱落して弁座27に着座できなくなることが防止される。
【0024】ガイド31の下端部には、チェイン34の上端部が係止される。チェイン34の下端部は、釘状のベント棒32の上端部に係止される。ベント棒32は、ベント孔18に遊嵌される。ベント棒32の頭部直下には、ベント孔18を閉塞するのに十分な口径のOリング33が嵌着される。なお、ドレンの排出の最大容量に応じて、ベント孔18の口径とベント棒32の口径とが定められる。ここで、ベント棒32が長く形成されているのは、十分な自重を得、ベント孔18からの抜け落ちを防止するためである。また、ベント棒32がベント孔18を摺動することにより、ドレン中に含まれるゴミ、油等がベント孔18に付着するのを防止することができる。
【0025】ここで、逆バケット17は、ピン21,22を回転軸として円弧状に上下移動する。このため、ベント孔18も円弧状に上下移動する。一方、弁29は、鉛直方向に上下移動する。したがって、動きの方向の異なる場合に、ガイド31とベント棒32とを棒で連結すると芯が出しにくくなる。チェイン34で連結した場合には、このように動きの方向の異なるときでも自由に変形して対処することができる。また、チェイン34を用いることによって、気体排出口13の開閉と、ベント孔18の開閉との間に遊びを持たせることができる。なお、弁座27、Oリング28、弁29、弁棒30、ガイド31、ベント棒32、Oリング33およびチェイン34は、弁機構として機能する。
【0026】流体流入口11に関連して、逆流阻止弁機構としての逆止弁35が設けられる。逆止弁35は、内部ボディ本体7の底部に固着される弁座36と、弁座36に着座可能なボール状のフロート37と、フロート37を収納するとともにフロートが逃げるのを防止する蓋38とを備える。
【0027】図2ないし図7は、図1に示したレバー式逆バケット型ドレントラップの動作状態を示す図である。ここで、このドレントラップの動作開始時の通気初期動作においては、システムからドレンが排出されておらず、システムにドレンが残留しているので、まず残留していたドレンのみが流体導入口5から流入する。システムに残留していたドレンの排出が終わると、通気初期動作が終わり、ドレントラップの通常動作が行われる。この通常動作においては、便宜上、気体とドレンとが交互に流体導入口5から流入するものとして、動作を説明する。
【0028】図2は、通気初期動作時においてドレンが流入し始めた状態を示す図である。まず、流体導入口5から残留していたドレンαのみが流入する。流体貯留室4内に流入したドレンαは、側壁を伝って流体貯留室4の下部に貯留されるとともに、流体流入口11および逆止弁35を介してバケット室10および逆バケット17内に流入する。このとき、逆バケット17に貯留されていた大気圧の気体βは、ドレンαの圧力(例えば、10気圧)が高いので、圧縮されるとともに、ドレンαが逆バケット17に流入するのに応じてベント孔18を介して気圧の低いバケット室10に排気される。このため、逆バケット17が浮力で浮き上がることはない。したがって、液体排出口12は、開いたままに維持される。バケット室10に貯留されていた気体βは、液体排出口12が開いているので、流体流入口11からドレンαがバケット室10に流入するのに応じて、液体排出口12からほぼ排気される。排気されなかった気体βは、10気圧まで圧縮され、バケット室10内の気体排出口13付近に滞留する。
【0029】図3は、通気初期動作時において流入したドレンの排出が行われる状態を示す図である。バケット室10内の気体βの排気がほぼ終わると、逆バケット17が下降したままで、液体排出口12が開いたままであるので、残留していたドレンαの外部への排出が始まる。一方、流体貯留室4内のドレンαのレベルが気体排出口13のレベルを越えると、フロート26内に圧縮された気体βが残っているので、フロート26が浮力で浮いて上方に移動し、気体排出口13を開く。これによって、気体排出口13付近に閉じこめられていた気体βがフロート26内に流入する。フロート26が浮力で浮いて上方に移動し、気体排出口13が開かれると、ベント棒32がチェイン34で上方に引っ張られ、ベント孔18が開かれる。しかし、逆バケット17が下降したままで、液体排出口12が開かれままであるので、流体導入口5から流入したドレンαは、流体貯留室4、流体流入口11、逆止弁35およびバケット室10を介して液体排出口12から順次排出される。このドレンαの排出は、システムに残留していたドレンαがなくなるまで継続する。これによって、通気初期動作が終わる。
【0030】図4は、通常動作時においてドレンに続く気体の流入当初の状態を示す図である。システムに残留していたドレンαがなくなると、このドレンαに続いて、システムにおいて必要な高圧乾燥空気、スチーム等の気体βが流体導入口5を介して流体貯留室4内に入る。流体貯留室4の上部に気体βが入り、気体βの流入につれてその下部のドレンαのレベルが低下する。このとき、まず、ドレンαのレベルが気体排出口13のレベルになる前に、ドレンαのレベルの低下にともなってフロート26が下降し、フロート26の浮力がなくなる。したがって、弁29が弁座27に着座し、まず、気体排出口13が閉じられる。これによって、気体排出口13からバケット室10内に気体αが流入するのが防止され、バケット室10内が満水状態に保たれる。また、フロート26の浮力がなくなり、弁29が弁座27に着座すると、ベント棒32が下降し、ベント孔18が閉じられる。
【0031】図5は、通常動作時において気体が流体流入口11付近まで流入した状態を示す図である。流体貯留室4のドレンαのレベルがさらに低下し、気体βが流体流入口11にまで達すると、この気体βは、ドレンαとともに流体流入口11および逆止弁35を介して逆バケット17内に入る。逆バケット17内に気体βが入ると、気体βのため逆バケット17内のドレンαのレベルが低下し、逆バケット17に浮力が付き、逆バケット17が上方に浮き上がる。逆バケット17が浮き上がると、排水弁子24が弁座15に着座し、液体排出口12を閉じる。これによって、ドレンαの排出が止まる。なお、このとき、逆バケット17内の気体βの圧力がドレンαの圧力と同じであり、ベント孔18がベント棒32によって閉じられているので、逆バケット17内の気体βがベント孔18を介してバケット室10に排出されることはない。このため、逆バケット17は、浮力を維持し続け、液体排出口12を閉じたままに維持する。ドレンαの排出が止まると、流体導入口5からドレンαが流体貯留室4に流入し、流体貯留室4のドレンαのレベルが上昇する。
【0032】図6は、通常動作時においてドレンの流入によって流体貯留室4の上部までドレンαのレベルが上昇した状態を示す図である。気体βに続いてドレンαが流体導入口5を介して流体貯留室4内に流入すると、流体貯留室4内のドレンαのレベルが上昇する。流体貯留室4内のドレンαのレベルがさらに上昇し、流体貯留室4内のドレンαのレベルが気体排出口13のレベルを越えるとフロート26が浮力で浮き、気体排出口13を開く。フロート26が浮力で浮き、気体排出口13を開くと、ベント棒32がチェイン34で引っ張られて上昇し、ベント孔18を開く。ベント孔18が開かれると、逆バケット17内に閉じこめられていた気体βがベント孔18からバケット室10内に流出するとともに、逆バケット17内のドレンαのレベルが上昇する。バケット室10内に流出した気体βは、バケット室10内をほぼ鉛直方向上方に気体排出口13まで上昇し、気体排出口13を介してフロート26内に流入する。また、液体排出口12より気体排出口13の方が上方にあるので、たとえ鉛直方向からずれたとしても、バケット室10内に流出した気体βは、最終的には、上方の気体排出口13の方に向かう。
【0033】図7は、通常動作時において流入したドレンの排出が行われる状態を示す図である。ベント孔18が開き、逆バケット17内の気体βが流出するとともにドレンαが充満すると、逆バケット17が浮力を失い、自重で下降する。なお、ドレンαとの摩擦のため逆バケット17が下降するのに多少時間がかかる。このため、液体排出口12を開くのに時間がかかる。一方、逆バケット17のベント孔18から流出した気体βは、勢いよく鉛直方向上方に上昇する。これによって、全ての気体αが気体排出口13を介して流体貯留室4に排気されたときには、液体排出口12はまだ閉じられており、その後液体排出口12が開き始めることになる。したがって、気体βが液体排出口12から排出されることはない。逆バケット17が下降すると、液体排出口12が開く。これによって、バケット室10のドレンαのみが液体排出口12を介して排出される。
【0034】以後、図4~図7に示した動作が順次繰り返し行なわれ、気体βが回収されるとともに、ドレンαのみが間欠的に排出される。ところで、システムから排出されるドレンαの量が変動があった場合、ベント孔18の口径を変えることなく、ドレンαの排出の間欠サイクルの周期で対応するようにしている。すなわち、従来では図5に示した状態においてベント孔が既に開いていたが、この実施例ではベント孔18を閉じ、逆バケット17内の気体がバケット室10に排出されないようにしている。したがって、わずかなドレンαでもシステムから流体導入口5を介して流体貯留室4に流入すれば、流体貯留室4内のドレンαのレベルが流体流入口11から上昇してゆき、気体排出口13を越え、フロート26が浮く。これによって、図6、図7、図4の順序で動作が順次行われる。したがって、ドレンαが小容量であっても、正常に動作させることができる。一方、従来では図5の状態でベント孔が既に開いていたが、この実施例では図6の状態で初めてベント孔18を開くようにしている。したがって、ベント孔18の口径を始めから大きくしておけば、システムからのドレンの流入量が多くても逆バケット17内の気体βを素早く排気することができる。したがって、逆バケット17が短時間で浮力を失い、液体排出口12を素早く開くことができるので、ドレンαが大容量であっても、正常に動作させることができる。これにより、ドレンαの流量の広い範囲に対応することができる。また、システムのドレンの排出量の如何に拘らず、ベント孔18の口径を初めから大きくしておけばよいので、量産でき、コストダウンを図ることができる。
【0035】なお、図5に示す状態では、バケット室10内にドレンαが充満し、流体貯留室4内のドレンαのレベルが流体流入口11にあるため、何らかの原因による不測の自体、例えば、バケット室10のドレンαの自重で弁29および弁座27のシールが破け、気体排出口13が開いてしまうような不測の自体が生じるおそれがある。しかし、逆止弁35が設けられているので、この逆止弁35によって、バケット室10内のドレンαの流体貯留室4への逆流が阻止される。したがって、気体排出口13からバケット室10に気体αが流入することが阻止され、バケット室10内をドレンαで充満させておくことができる。したがって、不測の自体においても正常に動作させることができる。また、逆止弁35を設けることにより、弁29および弁座27のシールを厳重にする必要がなくなる。また、バケット室10のドレンαが自重で流体流入口11を介して流体貯留室4に逆流し、逆流したドレンαの分だけ気体βが流体流入口11を介して逆バケット17に流入するおそれもある。しかし、逆止弁35が設けられているので、この逆止弁35によって、バケット室10内のドレンαの流体貯留室4への逆流が阻止される。したがって、ドレンαが逆流しないので、気体排出口13からバケット室10に気体αが流入することも、バケット室10内に気体αが流入して、バケット室10からあふれた気体αがバケット室10に流出することも阻止され、バケット室10内をドレンαで充満させておくことができる。
【0036】ここで、逆止弁35が設けられていない場合を想定する。逆止弁35は、図5の状態のときに流体流入口11を閉じる。しかし、このときには液体排出口12、気体排出口13およびベント孔18は閉じられている。したがって、逆止弁35が設けられていないような場合において不測の自体が生じないようなときには、逆バケット17内のドレンαおよびバケット室10内のドレンαが流体流入口11を介して流体貯留室4に逆流し、流体貯留室4の気体αが流体流入口11を介してバケット室10に流入しようとする。しかし、ドレンαの逆流と気体βの流入がわずかに起きた時点で、流体貯留室4内のドレンαのレベルが流体流入口11より上昇し、気体αの流入が止まるためドレンαの逆流が止まる。また、流入した気体αの量がわずかであるため、流入した気体αは逆バケット17に入るのみであり、例え逆バケット17からあふれたとしても、あふれる気体αがわずかで、気体排出口13付近にわずかにたまるのみであるため、バケット室10内をほぼドレンαで充満させておくことができる。このため、逆止弁35が設けられていない場合であっても、バケット室10内が常にドレンαで充満されたままに維持され、ベント孔18が閉じ、バケット室10が浮力を失うことがないので、正常に動作させることができる。
【0037】図8は本発明の他の実施例のUFO式逆バケット型ドレントラップの構成を示す図であり、図1の実施例と対応する部分には同一の参照符を付す。この実施例で注目すべきは、逆バケット17自体が排水弁子24の機能を果たし、排水弁子24で弁座15に着座させる代わりに、逆バケット17の外周面を弁座15に当接させるか否かで、液体排出口12を開閉するようにしていることである。このようにしても、図1の実施例と同様に動作させることができる。また、この実施例では、バケット室10全体を外囲するのではなく、流体貯留室4および流体貯留室4の一部をなす管路4aでバケット室10を一部外囲するようにしている。
【0038】なお、上述の実施例では、液面検知手段として逆バケット型のフロート26を用いるようにしたが、本発明の他の実施例として球状のフロート等を用いるようにしてもよく、液面検知手段および弁機構の一部として逆止弁35と同様の構成にして実施するようにしてもよい。また、逆流阻止弁機構として、金属板等を用いて実施するようにしてもよい。さらに、流体貯留室を気体排出口および流体流入口を含めてバケット室を全部または一部外囲して実施するようにしたが、流体貯留室とバケット室とを別々に設けるようにしてもよい。しかし、別々に設けると大型化するので、流体貯留室を気体排出口および流体流入口を含めてバケット室を全部または一部外囲した方が小型化することができる。
【0039】
【発明の効果】以上のように請求項1の発明では、液面検知手段が流体貯留室内の液面が気体排出口を越える所定の高さ以上を検出しているとき、弁機構が気体排出口およびベント孔を開いて逆バケット内の気体をバケット室内を経由して流体貯留室に排気するので、気体が液体排出口から外部に排出されず、システムから気体を新たに補充する必要がないので、システムの効率の向上が図れる。また、液面検知手段が流体貯留室内の液面が気体排出口を越える所定の高さ以下を検出しているとき、弁機構が気体排出口およびベント孔を閉じ、逆バケット内に貯留された気体の排除を禁止するとともにバケット室を定常的にほぼ満水状態にし、逆バケットの上昇時に液体排出口が閉じるようにしているので、わずかな液体でも流体貯留室に流入すれば、流体貯留室内の液面が流体流入口から上昇し、気体排出口を越え、液面検出手段が浮き、ドレンの小容量から大容量まで広い範囲に対応することができる。請求項2の発明では、液体貯留室内の液面が所定の高さ以下になったときに何らかの原因で気体排出口が開かれたままになった場合においても、バケット室を確実に定常的にほぼ満水状態に維持できるので、気体の回収を確実にし、ドレンの小容量から大容量までより広い範囲に対応することができる。請求項3の発明では、ベント孔を出た気体が鉛直方向上方に上昇し、気体排出口に向かうので、気体が下方の液体排出口から外部に排出されるのを確実に防止し、気体の回収を確実にすることができる。請求項4の発明では、ベント孔を出た気体が何らかの原因で鉛直方向上方からずれて上昇しても、気体は最終的に気体排出口に到達するので、液体排出口から外部に排出されるのをより確実に防止することができ、気体の回収をより確実にすることができる。請求項5の発明では、流体貯留室とバケット室とを別々に設けるよりも小型化を図ることができる。

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